ラベンダーの香りと効果 自律神経系への作用

 

リラクゼーション効果について

ラベンダーの香りと自律神経系への作用

Effect of Lavender Essentila Oil


香りが自律神経や、脳波、脳血流量に影響を及ぼしていることが判明しています。
ラベンダーは自律神経系に対しては副交感神経を刺激すること、また、脳波に対しては抑制性に働く可能性が高く薬理作用としては、抗けいれん作用、鎮静作用、抗不安作用があることが判明しています。
香りは脳に対して効果があり、単なるプラシーボ効果ではないということが示されています。
(精油は、植物の持ついろいろな化学的成分の混合されたものである。1つ1つの成分がまじりあい、精油の特徴ある香りを発散しています。)

ラベンダーの香りと効果 自律神経系への作用
 

ラベンダーの香りによる自律神経への効果が様々な実験により、証明されてきています。
以下は報告されている実験結果の一部となります。
  • 実験報告-1(1)
実験:報告-1
実験対象:人(注1)
測定内容:ラベンダーの香り(アロマオイル)を嗅いだ直後に、「平均血圧」、「最低血圧」、
「唾液アミラーゼ活性」の値を測定
結果:測定値が低下
  • 副交感神経が優位となり、リラックスした気分になったと推察しています。

  • 実験報告-2(2)
実験:報告-2
実験対象:
測定内容:ラベンダーの香り(アロマオイル)を含んだ湿布を30分間添付し、ホルター心電図を使用しての周波数解析
結果:心電図の結果は、
「心拍の徐波化」、「高周波成分(High frequency、HF)の上昇」、「心拍数変動指標(LF/ HF)」の値が低下
心拍変動の周波数解析は、心拍数よりも鋭敏に自律神経のバランスを反映するといわれています。
HF値は、副交感神経に依存し、L値Fは、交感神経、副交感神経の双方に影響されます。
LFとHFの比(LF/HF)が交感神経の緊張度を表すとされています。
  • ラベンダー湿布で、交感神経の緊張が低下し、副交感神経(リラックス)の活動が高くなりました。
  • 実験報告-3(3)
実験:報告-3
実験対象:ラット
測定内容:「自律神経活動」、「血漿グリセロール値」,「体温」,「血圧」,「摂食量と体重」の値が
ラベンダーの香り(匂い刺激 アロマオイル)によってどのような変化があったのかを測定
結果:心電図の結果は、
ラベンダーの匂い刺激は、「白色脂肪組織」、「褐色脂肪組織」と「副腎を支配する交感神経活動」を抑制し、
胃を支配する「迷走神経活動を促進」、「血漿グリセロール値」と「体温、血圧」を低下させ、摂食量と体重を増加させました。
匂い刺激は鼻粘膜に存在する匂い受容体を介して、その情報が嗅脳に伝えられ、
おそらく梨状葉や扁桃体などの辺縁系を介して副腎や胃、腸、白色脂肪組織、褐色脂肪組織に投射する自律神経活動を変化させるものと考えられます。
また、嗅脳を除去したラットの場合では、香り(匂い刺激)の効果が消失することも確かめられました。
  • ラベンダーの香りは、鼻粘膜の匂いをつかさどる脳を介して、副交感神経(リラックス)の活動を高めたと考えられています。
(1)浅野智絵美,伊藤輝子,川野直子 他:グレープフルーツおよびラベンダーの匂い刺激による生理・心理機能への影響,日本味と匂学会誌16,633-636,2009.
(2)伊藤正敏,佐々木雄久,渡辺和彦 他:ラベンダー香りの生理効果に関する研究,Journal of International
Societyof Life Information Science,22,109-116,2004.
(3)新島旭:アロマセラピーの生理学的基礎,日本アロマセラピー学会誌,6,13-21,2007.

ラベンダーの香りが脳波へ与える影響として、脳波の変化についての研究が行なわれました。
  • 実験報告-1(4)(5)
実験:報告-1
実験対象:
測定内容:ラベンダーの匂いを嗅いでいる時にに脳波の値を測定
結果:α波が増加
  • 脳波はγ波、β波、α波、θ波、δ波に分類されます。(※1)
    α波は、気分が安定してリラックスした状態で増加し、緊張すると減少するためリラクゼーション効果の指標となっていますが
    ラベンダーの香り(匂い刺激)で行った実験(4)(5)では、α波が増加しリラクゼーション効果が高いことがわかりました。
(※1)脳波はγ波(30Hz以 上 )、 β 波(14 ~ 25Hz)、 α 波(8 ~ 13Hz)、θ波(4 ~ 7Hz)、δ波(0.5 ~ 3.5Hz)に分類されるに分類される6)。
脳波の中でα波は閉眼時に後頭部に分布し、出現量は精神的緊張や意識の程度により変動する。
中でもα2波と呼ばれる比較的高い周波数の成分(10 ~ 13Hz)は気分が安定してリラックスした状態で増加し、緊張すると減少するためリラクゼーション効果の指標となる。
一方、眼を開けたり計算したりするとβ波に変わり、怒りや興奮状態においてはγ波が出現する。
(4)Diego MA, Jones NA,Field T, et al.: Aroma-therapy positively affects mood, EEG patterns of alterness and math computations. Int J Neurosci 96, 217-224, 1998.
(5)三木佐知子,木ノ桐三知子,井﨑ゆみ子 他:SEP(体性感覚誘発電位)および脳波へのラベンダーおよびペパーミントの効果,四国医誌,53,248-257,1997.
  • 実験報告-2(6)
実験:報告-2
実験対象:
測定内容:ラベンダーの匂いを嗅いでいる時ににVEPの値を測定(6)
(VEPとは・・・網膜に光刺激を与えた時に大脳皮質視覚野に生ずる電位。)
結果:潜時延長、振幅減少(※2)
  • これにより、中枢神経を抑制する事がわかりました。
    参考までに、神経系には中枢神経系と末梢神経系があります。
    末梢神経は、目や耳、手足、体幹、内臓などから情報を送ります。
    中枢神経は、末梢神経から情報を受け取り、感覚、運動、意思、情緒、反射、呼吸などをコントロールします。
    多数の神経細胞が集まっている領域です。 

    ラベンダーにより、抑制効果があるということは、中枢神経の働きを沈静化させ、誘眠作用や鎮静作用があるという事が推測されます。

(※2)VEPは短~長潜時成分において有意に潜時延長、振幅減少した。
皮質下では視床特殊核である外側膝状体において、視床背内側核より視床網様核を介して嗅覚性入力をうけ抑制の作用が生じたと考えられる。
網膜及び外側膝状体における抑制性の神経伝達物質はGABAであるということからも、ラベンダーの匂い刺激がGABA系を介して中枢神経を抑制すると推測している。 

(6)井﨑ゆみ子,木ノ桐三知子,三木佐知子 他:VEP(視覚性誘発電位)および脳波へのラベンダーおよびペパーミントの匂い効果,四国医誌,53,161-170,1997.

ラベンダーの香りが脳血流量に与える影響として、脳波の変化についての研究が行なわれました。
  • 実験報告-1
実験:PETを使用した実験(ポジトロン断層法(positron emission tomography、PET))
実験対象:
測定内容:脳内の血流量の変化を測定
結果:ラベンダーの香り(刺激)を行った際に、被験者に共通して変化があった(右上側頭回の活動低下と左後部帯状回の活動の上昇が見られました。(7)
側頭葉前方の活動の低下はラベンダーにより情動的に安定したと考える事ができると報告されています。(9)
  • ラベンダーの香りによって、情動的に安定した。と捉える事が出来ました。(9)
    また、脳内の別の箇所では逆に活性化(賦活)される可能性もあることがわかりました(8)。
    (後部帯状回は、視覚情報と運動情報との統合(10)感情を呼び起こすような言葉(11)など)
(7)伊藤正敏,佐々木雄久,渡辺和彦 他:ラベンダー香りの生理効果に関する研究,Journal of International Societyof Life Information Science,22,109-116,2004.
(8)Diego MA, Jones NA, Field T, et al: Aroma-therapy positively affects mood, EEG patterns of alertness and mathcomputations, Int J Neurosci, 96, 217-24, 1998.
(9)Desmedt JE, Huy NT, Bourguet M : The cognitive P40,N60 and P100 components of somatosensory evoked potentials and the earliest electrical signs of sensory processing in man, Electroenceph Clin Neurophysiol, 56, 272-282, 1983.
(10)Inoue K, Kawashima R, Satoh K, et al: PET study
of pointing with visual feedback of moving hands, J
Neurophysiol, 79, 117-125, 1998.
(11)Maddock RJ, Garrett AS, Buonocore MH: Posterior cingulate cortex activation by emotional words: fMRI evidence from a valence decision task, Hum Brain Mapp, 18, 30-41, 2003.
  • 実験報告-2
実験:fMRIを使用した実験
機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging、fMRI)/近赤外線分光法(光ポトグラフィー:NIRS)
実験対象:
測定内容:脳内の血流量の変化を測定
結果:前頭眼窩野外側は嗅覚に深く関わっていることが判明しています。
NIRSによる測定でも、芳香刺激により前頭眼窩野外側が活性化することが確認されました。(12)。
痛みと同時にラベンダーの香り(匂い刺激)を与えることによって、どのような脳の血流量の変化があるのかを調査しました。(12)(※3)
まず、右の手指に痛み(疼痛刺激)だけを与えたところ、
その痛みに同期して、脳血流量の増加がありました。(両側視床、両側一次知覚野、両側一時運動野、両側側頭葉、両側後頭葉、脳幹、両側扁桃体、左前頭前野) 

次に、ラベンダーの香り(匂い刺激)だけを与えたところ、
脳血流量の増加がありました。(両側扁桃体、視床、前頭前野、特に眼窩回での血流の増加を認められました(13),(14)。
ところが、
右の手指に痛みを与えるのと同時に、ラベンダーの香り(匂い刺激)を与えると脳血流(左前頭葉外側野)の増加はありませんでした。

  • 鎮静系の香りが痛みの緩和や癒し効果(情緒的な成分の反応を減弱させた)がある。(15)(16)と報告されています。
(※3)痛覚刺激に関する情報は、脊髄視床路(正常な部位情報を提供)と脊髄網様体視床路(疼痛の情動成分に関する情報を伝達)の両経路を上行する。
脊髄視床路の視床での終末は、後方領域を含んだ随板内核にあり、
一次体性感覚野、二次体性感覚野のみならず帯状回前部、前頭前野、大脳基底核、島皮質などの大脳の広い範囲に投射していると言われている。
(12)大塚満寿美、横田実穂子、渡辺英寿:芳香浴中の脳機能の光トポグラフィー(NIRS)による測定aromaResearch,9,52-54,2010.
(13)上田 孝:意識障害に対するアロマテラピー香りが脳に及ぼす影響―三次元的局所脳血流量の変化から―,BRAIN NURSING,16,1398-1403,2000.
(14)上田 孝,柳田美津郎:香り刺激が脳に及ぼす影響―99mTc-HMPAO持続静注下連続dynamic SPECT法を用いて―,脳循環代謝,2,219-220,2000.
(15)上田 孝:音楽と香りを用いた痛みの緩和,脳循環代謝,13,382-383,2001.
(16)上田 孝:音楽と香りを用いた痛みの緩和―癒しの脳内メカニズム―,Aroma Research,6,68-72,2005.
  • 実験報告-3
実験:fMRIを使用した実験
機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging、fMRI)/近赤外線分光法(光ポトグラフィー:NIRS)
実験対象:
測定内容:脳内の血流量の変化を測定
結果:香りを嗅ぐと意識障害の有無にかかわらず側頭葉内側部、扁桃体、海馬、前頭前野などの脳血流が増加した。(16)(17)と報告されています。
視床下部ではラベンダーの香り(匂い刺激)で脳血流量が減少しました。
  • 視床下部には、睡眠―覚醒のリズム、交感神経、各種ホルモンの生成、食欲、飲水などの調節機能があり、それらを香りがオプションで調節すると考えられています。(※4)
(※4)嗅上皮に存在する嗅覚受容器細胞の軸索は、篩板の小孔を経由して嗅球へ至り、そこの嗅糸球体において僧帽状細胞の樹状突起とシナプス形成する。
僧帽状細胞の軸索は嗅索を経由して、扁桃核および辺縁系の2つの領域、つまり梨状皮質と嗅内皮質に直接投射する。
扁桃核は嗅覚情報を視床下部に送り、嗅内皮質は海馬へ、そして梨状皮質は視床下部と、視床背内側核を経由して前頭前野皮質へ送られる。
(17)上田 孝:意識障害に対するアロマテラピー香りが脳に及ぼす影響―三次元的局所脳血流量の変化から―,BRAIN NURSING,16,1398-1403,2000.
  • 実験報告-4
実験:ラベンダーの香りが持つ中枢薬理作用  行動薬理試験(Gellerタイプの行動実験)
実験対象:マウス
測定内容:葛藤ストレスや不安に対して薬物がどのような作用を示すかという抗不安薬の評価方法の一つで、
レバーを押すことにより餌が得られるという条件付けをされたマウスを用いて行われます。
警告期には、レバーを押すと20回に1回の割合で電気ショックが与えられ、
安全期にはレバーを押すと常に餌が与えられます。
普通の状態のマウスでは、電気ショックへの不安から警告期にはレバーを押す回数が減少しました。
一方、抗不安薬を投与されたマウスでは電気ショックに対する不安が減少するので、警告期にもレバーを押す回数が減少しませんでした。
そして、餌を得たいが電気ショックを受けたくないという葛藤状態でもある事から、抗不安作用及び抗葛藤作用を評価しています。
結果:ラベンダー は抗不安作用があることがわかりました。(18)
ラベンダー精油の主な作用としては、抗けいれん作用(19)、鎮静作用(20)、抗不安作用(21)などがあることがわかりました。
  • 視床下部には、睡眠―覚醒のリズム、交感神経、各種ホルモンの生成、食欲、飲水などの調節機能があり、それらを香りがオプションで調節すると考えられています。(※4)
(※4)嗅上皮に存在する嗅覚受容器細胞の軸索は、篩板の小孔を経由して嗅球へ至り、そこの嗅糸球体において僧帽状細胞の樹状突起とシナプス形成する。
僧帽状細胞の軸索は嗅索を経由して、扁桃核および辺縁系の2つの領域、つまり梨状皮質と嗅内皮質に直接投射する。
扁桃核は嗅覚情報を視床下部に送り、嗅内皮質は海馬へ、そして梨状皮質は視床下部と、視床背内側核を経由して前頭前野皮質へ送られる。
(18)梅津豊司:精油の中枢薬理作用の研究と最新動向,アロマテラピー学雑誌,9,1-20,2009.
(19)Buchbauer G, Jirovetz L, Jager W, et al: Fragrance compounds and essential oils with sedative effects upon inhalation, J. Pharm. Sci., 82, 660-664, 1993.
(20)Bu-inflammatory andchbauer G, Jirovetz L, Jager W, Plank C, Dietrich H: Fragrance compounds and essential oils with sedative effects upon inhalation, J. Pharm. Sci., 82, 660-664, 1993.
(21)松浦晶子:精油の成分と脳内神経伝達物質受容体の相互作用,アロマテラピー学雑誌,6,1-8,2006. 

深読み

アロマオイルの安全性についての話

アルツハイマー病患者へのアロマテラピーの有用性

レモンとペパーミントの香りによる覚醒作用

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